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気血両虚、気血両虚剤の漢方処方の考え方

慢性疲労・心身虚弱・病中病後・抗lガン剤副作用・貧血など。

 

 

★漢方薬での対応、応用
漢方的考えは方は、疲労感は気・血・水の乱れ・不調により起こるものととらえることが出来ます。
漢方では気、血、水が生命活動の基調をなしています。


気のエネルギーによって血も水も動くという考え方、気に異常があれば血あるいは水にも故障がおこり、血、水に故障があれば気の異常を伴うこともあります。
血、水は体内を循環する血液、体液(水分)を指すと考えられてきて、病気とは気血水の調和の破れた状態と考えられます。


漢方処方では、複数の生薬を配合するケースがほとんどで、気、血、水の3要素に作用する生薬が含まれていることが多いのです。
また、病気や体の不調は(木=肝・火=心・土=脾・金=肺・水=腎)臓器の不調和によってもたらされるととらえています。

特に気は、血・水を統合するエネルギーと考えるので、気のアンバランスを立て直し、気を増強することが非常に重要です。加えて、血を補うことが必要です。漢方処方での代表的慢性疲労の治療には、気と血を補う両方の作用を持つ薬、気血両虚剤用いることになります。


最もよく使われる補剤が、補中益気湯・十全大補湯です。これには、人参、黄耆など10種類の生薬が配合されています。主に気を補う薬で、気を増すとともに胃腸も丈夫にします。

江戸時代、津田玄仙という漢方医が、補中益気湯の適用として、次の8つの症状を取り上げています。
1) 手足がだるくてしかたがない2) 声がかすれる 3) 目に力がない 4) 口の中に白いあぶくがたまり、口角に泡が出る 5) ごちそうを食べても味がわからない 6) 冷たい飲食物を極端に嫌い、温かいものを好む
7) へそより上部に動悸がある8) 脈に力がない


体力が消耗していて、口の中が渇き、ジワッと汗をかいて、冷え性のときは、柴胡桂枝乾姜湯 が適しています。
みずおちがつかえ、口の中に薄いツバがたまりやすく、口角からツバが出て、手足が冷え、胃腸が弱くて下痢をするタイプには、人参養栄湯が適しています。
以上、補中益気湯・十全大補湯・柴胡桂枝乾姜湯・人参養栄湯の4つが、慢性的な疲労に用いる主な漢方薬です。
また、小児期から胃腸が弱く虚弱なタイプには小建中湯・桂枝湯を、また、高齢の人でおなかがやや張って、おなかに力がなく、ガスが出るタイプには大建中湯が適応します。


漢方医学、気血両虚では次のような症状が起こり易いと考えられています。

★気虚症状

●息切れ●声が低く小さい●あまりしゃべりたがならい●疲労感・倦怠感。
●疲れやすい。●暑くもなく動かないのに汗が出る(自汗)

 

★血虚症状
●顔色が白く赤味がないあるいはつやのない黄色●唇や爪や眼瞼粘膜も白く赤味がない●動悸がする●疲れて眠れないそのほかよくみられる症状●めまい●耳鳴り●四肢のしびれ感や知覚鈍麻●痩せ・肥り難い

そこで気血両虚剤の漢方処方十全大補湯 とは

 

十全大補湯-------1151年、和剤局方記載、体力気力を補い、元気を取り戻すのを、役立つように構成されています。寒がり、または冷え性で貧血気味、顔色悪く、疲労衰弱がひどいとき、あるいわ病中・病後・手術後などで体力・気力・食欲が低下または、弱っている方・肥れない方などに適しています。
成分:当帰・川芎・芍薬・地黄・蒼朮・茯苓・人参・桂皮・黄耆・甘草

応用:虚寒の症候をともなうものの貧血症・慢性肝炎・慢性腎炎・その他の慢性疾患・産後・出血のあと・肉芽形成不全・自律神経失調症などで、気血両虚を呈するもの。
漢方的考え方は、気血両虚で、貧血・慢性肝炎・自律神経失調症・ガン治療の補助(制ガン作用・延命効果・免疫賦活・抗がん剤や放射線の副作用軽減・痛みを和らげる効果・回復促進)・体力低下・慢性疲労・全身衰弱・白血病・脱肛・痔ろう・
胃下垂・低血圧症・甲状腺機能低下症などに応用されています。

中医学解説

気血双補・温陽去寒
補気の基本処方の「四君子湯」と補血の基本処方の「四物湯」を組み合わせ、補気の黄耆と温中散寒の桂枝を加えたものに相当し、「気血双補」の処方になっています。気血両虚で、寒け・四肢の冷え・下腹部痛などの虚寒の症候をともなうものに使用します。舌質は淡白で胖大

 

【十全大補湯の抗がん作用】
十全大補湯それ自身に、がんの発生や再発の予防する効果や、転移を抑制する効果があることが報告され、富山医科薬科大学和漢薬研究所のグループは、十全大補湯ががん細胞の悪性化進展や転移を抑制することを報告しています。マウスを用いた実験で、十全大補湯に、がん細胞の悪性化進展や転移を抑えるという結果を、済木教授らは複数の実験モデルを用いて示しています。

 

大変軽いと言われる「気」はどうして停滞してしまうのか
体のエネルギーの元となる”気“は人間の体中に流れているといわれ、臓器などの各部署や皮膚表面で動き回っていると考えられています。

気は人間にとってとても重要で、クヨクヨ悩んだり、イライラしたり、緊張することが続いたりという精神的なストレスによって気の滞り=気帯が起こり易くなります。

人間関係のトラブル、身内の不幸や引っ越し転職、気候の変化の激しさに環境の変化、大きな傷を負 ったり、暴飲暴食も体のストレスとなることがあります。
デスクワークでずっと座りっぱなし、など体を動かさないこともストレスです。

本人がぜんぜん意識しないで頑張っているうちに、体ががんじがらめになっていることもあるので、身近な人が何気なく気遣ってあげることも大切でしょう。

基本的には、疲労などにより、体のエネルギー不足「気虚」となっていることが背景にあることが多いので、、気分転換やリラックス法の他に、じっくり体力を回復するための養生を続けることが必要です。

 

精神的ストレスでイライラしたり、緊張などにより肝気=気が鬱結(滞ること)して疏泄(代謝のこと)が乱れると、気血の流れが悪くなり、胞宮が栄養を受けられず不妊となります。

具体的症状

月経周期が不安定、月経前に乳房の脹り、月経血に血塊が混入、不妊とともに憂うつ、イライラ、ヒステリックな反応、胸脇が脹って苦しい、ため息など
治療原則 疏肝解鬱
処方:加味逍遥散・半夏厚朴、柴胡桂枝湯、加味帰脾湯湯
など

加味逍遥散
更年期障害のファーストチョイスに加味逍遥散というくらい、あまりにも有名な漢方処方で、職場の人間関係などによるストレスなどに、加味逍遥散が随分助けてくれます。嫌な上司・家庭内でのトラブル・仕事上での人間関係などから起こりやすい精神神経症状にとてもお勧めです。イライラしたり、やたらと怒りっぽくなったりする方に良く効きます。
宋時代(1107~1110年)
和剤局方記載
漢方的な治療法は、気滞血瘀・肝気鬱結・肝陽上亢で、気・血の流れが悪く、停滞している“気・血・水”の流れをよくすることで、精神神経状態を落ち着かせ、血液循環を改善し、清熱作用で上半身の余分な熱(のぼせ傾向)を取り去ります。

その他、ホルモンバランスを整え、生理不順や生理痛・イライラしたり怒りっぽくなる・やる気の低下・めまいやフワフワ感・動機・上半身が熱くなるのぼせ傾向や発汗・寝つきが悪い・不眠症・不安感・抑うつ状態・焦躁感・頭痛・肩こり・倦怠感・多汗症・赤面症・ニキビ・肝斑・慢性肝炎・子宮筋腫・不妊症などの症状・病気にまで適応します

加味逍遥散簡単解説
柴胡・薄荷で気をめぐらせ、情緒を安定させます。柴胡・当帰・白芍・炙甘草で肝の働きを高め、気血の循環をよくします.白朮・茯苓・炙甘草・生姜で胃腸の働きを助け牡丹皮・山梔子で身体の余分な熱をさまします。
肝火上炎:怒りっぽい・イライラ・顔色が赤い・カーッとなるなど。

 

漢方薬局東京都で漢方歴30年|漢方薬相談は目黒区中目黒の桂林堂へ